政府は、世界トップレベルの研究者を日本に招き入れるため、新たに総額1,000億円規模の資金を投入する方針を固めた。対象には日本人のみならず、海外で活躍する研究者も含まれ、特に米国で研究費削減の影響を受けた一流人材の受け皿として期待がかかる。資金の一部には、10兆円規模の大学ファンドの運用益が活用される見込みだ。
この施策は、内閣府が主導して取りまとめたもので、城内科学技術担当相が13日の閣議後に記者会見を行い、詳細を発表する予定である。
処遇格差の壁を打破 米欧並みの待遇を用意
これまで、日本は研究者の待遇面で米国や欧州に後れを取っていた。給与水準は日本よりも2~3倍高いとされ、優秀な研究者の日本招致には大きな壁となっていた。
そこで政府は、大学ファンドの運用益を活用し、人件費や研究環境整備に充てることで、研究者に対してこれまで所属していた海外機関と同等レベルの待遇を提供できるようにする。この取り組みでは、大学ファンドを運用する科学技術振興機構(JST)を通じて、国内の大学や国立研究開発法人への支援が実施される。
制度改正でより広い受け入れ体制へ
現在の文部科学省の基本方針では、大学ファンドの支援対象が「国際卓越研究大学」および博士課程学生に限定されている。今回の政策により、その方針を近く見直し、より多様な機関や研究者に支援が届くように改定される見通しだ。米欧で研究者の採用が本格化する秋に向け、スピード感を持って実行される。
研究環境の整備と積極的な海外アピールも展開
資金支援だけでなく、研究者が日本で安心して活動できるよう、大学の人事制度の柔軟化や、最先端機材の導入支援も進められる。また、米国など現地での採用活動や、日本の生活環境・文化の魅力を伝える広報活動も計画されている。
国際競争が激化 日本の戦略が本格始動
優秀な研究者の争奪戦はすでに激化しており、欧州連合(EU)は約830億円(5億ユーロ)の資金拠出を発表するなど、各国が積極的に動いている。こうした流れを受け、石破首相は今月4日に開かれた総合科学技術・イノベーション会議において、対策の強化を城内科技相に正式に指示した。
今回の取り組みは、日本が世界の頭脳を引き寄せ、科学技術分野での国際的な存在感を高めるための大きな一歩となるだろう。
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